【戦争描写が描かれた絨毯】War Rug(ウォーラグ)って知ってる?

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みなさんこんにちは。アサイです。
突然ですが皆さんはWar Rug(ウォーラグ)というものをご存じでしょうか。

War Rugとは、南アジアに位置するアフガニスタンで手織り(ほとんどがハンドメイド)で作られた絨毯で、主に戦争に関連する柄や模様が描かれているものを指します。

似た手織物でイランで昔から製造されている「ペルシア絨毯」は世界で最も優れた文化を誇っています。手織りと染色の芸術は今も継承され続けており、日本でも馴染のある手織り絨毯として、よく知られているかと思います。その他にも中東地域では様々な国で、伝統的な手織物が生産されています。

今回はその中でも最近最も興味深いと感じたWar Rugについてご紹介します。

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War Rugの歴史

War Rugについての情報はネット上にもあまり文献が無く、今も謎が多いものとされています。

War Rugの起源は1979年にソ連が共産政権の維持、イスラーム民族運動の抑圧を目的としたアフガニスタン侵攻があった直後から生産され始めたと言われています。当時何百万人ものアフガニスタン人は戦火から逃れるために隣国に移住し、その難民キャンプ(パキスタン)から最初のWar Rugも発見されています。

当初よりこの絨毯は難民キャンプや、各地域での土産店で販売されており、非政府組織や西側政府関係者の労働者に主に売られていました。

デザインは戦車やヘリコプター、銃などの兵器が主に描かれており、年代によって様々なテンプレが存在します。年を重ねるごとにデザインは年々洗練され、アメリカで起きた9/11同時多発テロ以降は、その事件を題材としたデザインも人気が高く多数作られていました。

これらの出来事を題材とした敷物は20 世紀後半から 21 世紀初頭 にかけて、世界でも最も豊かなミリタリーアートとされており、今尚世界中のコレクターやバイヤーによってコレクションされています。年々その取引額は高騰していますが、e-Bayなどでも容易に手に入るものとされています。

War Rugに込められた思い

興味深いのはこのWar Rugに込められた作り手の想いです。
戦争を題材とするミリタリーアートは様々な作り手の心情から形成されています。スペインの画家パブロ・ピカソの「ゲルニカ」はスペイン市民戦争を題材にし、美術史において最も強烈な反戦絵画芸術として有名です。最近ではストリートアーティストのバンクシーの作品が反戦アートとして知られていますね。

ゲルニカ/パブロ・ピカソ(1937年) 出典:西洋絵画美術館
Flower Thrower/バンクシー(2003年) 出典:Tripnote

このように、ミリタリーアートと聞くと戦場での悲劇的な光景や、無謀な殺戮への反発などが皮肉的に描かれているアートとみなされる傾向があります。しかし、このWar Rugは戦争芸術の中でも少し異なった主張がされています。
というのも、これらの敷物は戦争を題材としながらも、市場の需要に応じて生産されていたとされているためです。つまりWar Rugの大半はいわゆる当時の”売れ筋商品”として土産店に並べられ、民族存続の為の生活費として売買されていた可能性が高いと言われているのです。
勿論これらが作られた背景には多くの犠牲と苦痛があり、作り手によっては政治的な思想やトラウマの共有を目的としているものもあります。ただしこれらの手は戦場を生き抜く為の術であり、作り手の逞しい精神が生み出した芸術という一面が特に強いのです。

今尚これらの敷物が人気なのは、洗練されたデザインの中にある生々しさと奇妙な美しさに惹かれてやまない人々がいるからかもしれません。

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